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2005年04月14日

敵の敵は味方

イギリスは連合王国である.会社にいるウェールズ人は,"English"といわれると猛然と言い返す.

"Englishじゃない.Welshだ."

初めのころは半分冗談で言っているのだろうと思っていたのだが,それは間違い.彼/彼女らはとても本気だ.ユニオンジャックは,北部アイルランド,スコットランド,そしてイングランドの旗が合わさってできている.ウェールズの旗は赤いドラゴンの旗なのだが,それはユニオンジャックには入っていない.イングランドにとって,ウェールズはすでにイングランドの一部とみなされていたからだ.イングランド人にとって,ウェールズ人という意識は低いが,ウェールズ人にとっては,イングランド人は別の国の人,むしろ「敵」という意識だ.ラグビーで Six Nations というイングランド,ウェールズ,スコットランド,アイルランド,フランス,イタリアが戦う大会があるのだが,England vs Wales の熱狂ぶりといったらすさまじい.

ウェールズ人が,

"イングランド人がウェールズに来るときは,入場料がかかる"

という話をしていた.これは,イングランドからウェールズに行くときは,M4という高速で Severn Bridge を越える.とても明確な境目だ.この橋は有料で,イングランド→ウェールズは4ポンドと少し取られるが,ウェールズ→イングランドでは料金所がないからだ.

イギリスのちっぽけな島でさえこの状況なのだ.EUという共同体がどうしてまとまっていられるのか,不思議でならない.

製造業にとって,アメリカという国は商売しやすい.ひとつ商品を作ったら,アメリカ中のどこでも大体売れる.カナダでも売れる.しかし,ヨーロッパではこうは行かない.ヨーロッパで売られている製品の裏を見るとその苦労がすぐわかる.同じ内容が,10以上の言語で繰り返しかかれている.言語が違い,文化も違う.

イギリス人が,「アメリカは敵だ」という話をしているのをきいて,ふとわかった.EUがまとまっている理由.そうか,敵の敵は味方であったか.


Six Nations http://www.6nations.net/

投稿者 yuichiro_nakamura : 2005年04月14日 22:29

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コメント

 中学生の頃、学校に「イギリス人の」英語教師が赴任した。
その日の朝礼で、校長に「イギリスから来た〜〜先生です」と紹介されて壇上に上がった英語教師の第一声は、
「イギリスではありません。ウェールズから来ました」
 校長は「イギリス」=連合王国のつもりで紹介したのだろうけど、英語教師にとって日本語の「イギリス」はイングランドを意味する言葉になるんでしょうね。
 自分の言葉をいきなり訂正された校長が面食らっていたのが面白かった。

投稿者 そたに : 2005年04月15日 03:14